武井シェフBlog

プロフィール

sankara屋久島エグゼクティブシェフ
武井 智春
1966年群馬県生まれ。
素材が持つ力を十分に、美しく引き出す料理を目指しています。
趣味は、ダイビングです。

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月に一度の買い付け 『なかやま黒牛』

  南九州市知覧町にあるJA食肉かごしま南薩工場に行って来ました。
目的は鹿児島黒牛(黒毛和牛)の一頭買い。
しかし、ただの黒牛ではありません。
そうです、「なかやま黒牛」です!
他の黒牛とは一線を画す、この「なかやま黒牛」について今回は触れてみたいと思います。
 
鹿児島に来て本当に良い出会いの一つが牛飼い・中山さんとの出会いでした。
そして、それは「なかやま黒牛」との出会いでもありました。
 
鹿児島県出水郡長島町。
ここはジャガイモの生産では九州でも1~2位を競う場所で、豊かな緑と澄みきった空気が魅力です。
この大自然のなかに中山牧場はあり、昨年12月に初めて私はその地を訪れました。  

 

なかやま黒牛①.JPG

 中山さんの牛舎では、年間約1200頭の黒牛を飼育。
「なかやま黒牛」は、ビール酵母を加えた独自の配合飼料で丹精込めて飼育されています。
通常和牛は1日に10kg前後餌を食べるそうですが、中山さんの牛達は15kgから20kgも餌を食べるそうで、たくさん食べて大きく育った黒牛は、当然肉の味にも差が出るといいます。
また、極上の和牛を飼育する農家さんは年間平均200から300頭が普通のようですが、それをあえて1200頭にまでして、独自の飼育方法で極上の赤身を作り上げているというから驚きです。
中山さんは、牛に余計なストレスを与えないよう鼻輪をつけません。
一頭一頭声をかけながら本当に愛情を持って育てておられるのです。
 

黒牛③.JPG中山さんは、枝肉になった姿の牛を見て、それがどの牛かすべて分かるそうです。
さらに、思うような格付けが得られなかった牛についてもその原因を正確に把握しています。
つまり、どの牛がいつ頃、どれぐらいの餌を食べ、どのような健康状態で、どう成長したのか、すべて把握しているというのです。
その話を聞いた時私は、命の尊さを感じるとともに「なかやま黒牛」が他の黒牛とは違う点は、やはり中山さんの愛情なのではないかと率直に感動しました。

 

「なかやま黒牛」は、毎週火曜日に12頭前後を出荷。
中山さんは毎週知覧の工場に行き、自分が育てた牛がどのような肉質に仕上がっているかを確かめに行きます。
そこに月1回同行させてもらうことになっているのです。

肉質の評価は左の肋骨6番7番の間をカットしてあり、ここの肉質で全てが決まってしまいます。
求める肉はA3クラスの脂の刺しは少ないが赤身の旨いもの・・・。

 

JA南薩摩.JPG

しかし、これがなかなか難しい・・・まだまだ素人・・・。
そこは中山さんの目利きに、まだまだ頼るしかありません。
枝肉価格で一頭数十万円以上の買い物。慎重になります。

 

「なかやま黒牛」のお肉は、赤身に旨みがあり、肉質が柔らかく脂身は融点が低いので解けやすく、お腹にもたれないという特長を持っています。
口に入れた途端に「フワッ」と溶けていく感覚は、余韻をも楽しめる逸品ならではのもの。
中山さんの愛情をたっぷりと受けて育った「なかやま黒牛」は、絶対の自信を持ってオススメできる食材のひとつです。

 

okasでの料理例
<長島町・なかやま黒牛・モモ牛肉カルパッチョ仕立て、阿久根産・有機金胡麻油の香り>

 

なかやま黒牛カルパッチョ.jpg

コメント

なかやま黒牛おいしそうですね。
今月宿泊予定なので、武井シェフのお料理とっても
楽しみにしています。

実は、武井シェフのお料理目当てでsankaraに行くことを決めました。二年ぶりくらいにお料理を頂けるので楽しみです!

aman様
サンカラの武井でございます。コメントを誠に有難うございます。
ご宿泊の今月も勿論、なかやま黒牛を使いまして屋久島の美味を堪能していただけますokasにてお待ちしております。
屋久島も夏本番になり、山と海の両方のアクティビティを通じて大自然を満喫して頂けるようになりました。太古の時代から変わらない魅力を持つ屋久島にて、素材の味の旨さを最大限に引き出して少しでも多くのお客様に地元の食材を味わって頂きたく日々研究・努力をしておりますので、2年ぶりの再会を心より楽しみにしてお待ちしております。

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